「流動性提供したら資産が減った...なぜ?」
「インパーマネントロスってよく聞くけど、何のこと?」
「どうすれば損失を減らせるの?」
インパーマネントロス(IL: Impermanent Loss)は、DEXに流動性を提供した際に発生する可能性のある損失です。価格変動によって、そのまま保有していた場合より資産価値が減少することがあります。
この記事では、インパーマネントロスの仕組み、計算方法、対策を、初心者にもわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- インパーマネントロスとは何か
- なぜ発生するのか、仕組みを理解
- 計算方法と損失の目安
- 対策と軽減方法
▶ 流動性提供の基礎は「イールドファーミングとは?始め方・稼ぎ方・リスクを徹底解説」をご覧ください。
第1章:インパーマネントロスとは
流動性提供特有のリスク
インパーマネントロス(IL)は、流動性プールに預けたトークンの価格が変動することで、単純に保有していた場合と比べて損失が発生する現象です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 別名 | 変動損失、一時的損失 |
| 発生条件 | プール内のトークン価格比率が変化 |
| 影響 | HODLより資産価値が減少 |
| 「Impermanent」の意味 | 価格が戻れば損失も解消される |
なぜ「Impermanent(一時的)」なのか
価格が元に戻れば損失も解消されるため「一時的」と呼ばれます。ただし、価格が戻る前に流動性を引き出すと、損失は「確定」します。
第2章:発生の仕組み
AMMの基本原理
DEXの多くはAMM(自動マーケットメイカー)を採用しています。
基本公式:x × y = k
- x:トークンAの数量
- y:トークンBの数量
- k:定数(常に一定に保たれる)
例で理解する
初期状態
- ETH: 1ETH(価格1,000ドル)
- USDC: 1,000USDC
- 合計価値: 2,000ドル
ETH価格が2倍になった場合
プールは自動的にリバランスされ:
- ETH: 約0.707ETH
- USDC: 約1,414USDC
- プール内の合計価値: 約2,828ドル
HODLしていた場合
- 1ETH(2,000ドル)+ 1,000USDC = 3,000ドル
インパーマネントロス
- 差額: 3,000 - 2,828 = 172ドルの損失
- 割合: 約5.7%のIL
第3章:計算方法
ILの計算式
価格変動率をrとすると:
IL = 2√r / (1+r) - 1
価格変動別IL早見表
| 価格変動 | インパーマネントロス |
|---|---|
| 1.25倍(25%上昇) | 0.6% |
| 1.5倍(50%上昇) | 2.0% |
| 2倍(100%上昇) | 5.7% |
| 3倍(200%上昇) | 13.4% |
| 4倍(300%上昇) | 20.0% |
| 5倍(400%上昇) | 25.5% |
※価格が下がった場合も同率のILが発生します
重要なポイント
- 価格変動が大きいほどILも大きい
- 上昇でも下落でもILは発生する
- ペアの両方の価格が同じ方向に動けばILは小さい
第4章:対策と軽減方法
1. ステーブルコインペアを選ぶ
USDC-DAI、USDC-USDTなど、価格変動が小さいペアはILがほぼゼロ。
2. 相関性の高いペアを選ぶ
ETH-stETH、BTC-WBTCなど、同じ資産の派生トークン同士のペア。
3. 手数料収入でカバー
取引量の多いプールは手数料収入が多く、ILを上回る収益が期待できる。
4. 短期間で撤退しない
長期保有すれば価格が元に戻る可能性があり、ILも解消される。
5. 集中流動性(Uniswap V3)を活用
価格レンジを設定することで、手数料収入を最大化しILをカバー。ただし、レンジ外に出るとILが固定される点に注意。
6. IL保護プロトコルを使う
Bancor(一部サービス終了)などIL保護機能を持つプロトコルもありましたが、持続可能性に課題あり。
第5章:ILを考慮した判断基準
流動性提供すべきか判断するポイント
- 予想APR > 予想IL なら検討の価値あり
- ペアの価格変動履歴をチェック
- 取引量と手数料収入を確認
- 追加報酬(ファーミング報酬)を含めて計算
シミュレーション例
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 預入額 | 10,000ドル |
| 年間手数料APR | 20% |
| 予想価格変動 | 2倍 |
| 予想IL | 5.7% |
| 純利益 | 20% - 5.7% = 14.3% |
第6章:よくある質問
Q1. ILは必ず損失になる?
A. いいえ。手数料収入やファーミング報酬がILを上回れば、トータルではプラスになります。
Q2. 価格が戻ればILはゼロになる?
A. はい。価格比率が預入時に戻れば、ILは解消されます。
Q3. 片側だけの流動性提供ならILはない?
A. 一部のプロトコル(Balancer等)では片側LPが可能ですが、仕組みが異なるだけでリスクは存在します。
まとめ:ILを理解して賢くLP運用
- インパーマネントロスは価格変動で発生する損失
- 価格が大きく動くほどILも大きくなる
- ステーブルペアや相関ペアでILを軽減
- 手数料収入がILを上回るか計算して判断
- 長期視点で運用することも一つの戦略
ILを正しく理解すれば、リスクを管理しながら流動性提供で収益を上げることができます。
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※この記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。DeFiには元本割れを含むリスクがあります。投資判断はご自身の責任でお願いします。
最終更新日:2025年12月